パート・ド・ヴェールは、まず粘土などで作った原型から鋳型を起こし、その中にガラスの粒や粉を詰めて窯の中で焼成、焼成後の鋳型を壊して取り出したガラスを研磨して仕上げるガラス成形の技法です。メソポタミア文明に生まれた世界最古の技法で、19世紀末のヨーロッパにおける美術運動『アールヌーボー』で開花し、アンリクローやエミールガレによって花や昆虫をモチーフにした繊細な表現の芸術作品が作られました。透明ガラスと色ガラスの粉が溶け合って生まれる不透明さとなめらかさ、ガラス粒子の間から発生して閉じ込められた小さな気泡、ガラス粒に混ぜた銅片がガラスの熔融で作る軌跡など、吹きガラスとは違うパート・ド・ヴェールの独特の表情が見られます。